遺族年金の計算シミュレーター
一家の働き手が亡くなったときに支給される遺族基礎年金・遺族厚生年金を計算します。2028年4月に施行される見直しで自分の受給がどう変わるかも比較できます。 この改正に対応した計算ツールは、調べた限りほかにありません。
年額 49.3万円(月額 約41,107円)
18歳到達年度末までの子がいないため、遺族基礎年金は支給されません
短期要件のため、加入月数を300月とみなして計算しています
2028年4月の改正であなたはどう変わるか
2025年に成立した年金制度改正法により、2028年4月から遺族厚生年金の仕組みが変わります。 18歳到達年度末までの子がいない配偶者は、原則5年間の有期給付になります。 ただし単純な打ち切りではなく、有期給付期間中は有期給付加算として 報酬比例部分の4分の1が上乗せされ、本体の4分の3と合わせて報酬比例部分の100%になります。 現行の4分の3と比べると約1.33倍です。
⚠️ あなたは改正の対象になります
子がなく40歳未満のため、2028年4月以降に受給権が発生すると原則5年間の有期給付になります
5年経過後も、障害の状態にある方や収入が十分でない方(単身で年収約122万円以下なら全額)は 継続して給付を受けられます。また対象年齢は施行から約20年かけて段階的に引き上げられる予定のため、 施行直後は影響を受ける人が限られます。
年収別・家族構成別 遺族年金の早見表(令和8年度)
亡くなった方の年収と、遺された家族の構成で金額がどう変わるかをまとめました。この表は上の計算ツールと同じエンジンで作っています。
| 亡くなった方 の平均年収 | 妻+子2人 | 妻+子1人 | 妻のみ (40歳以上) | 妻のみ (40歳未満) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 164.3万円 | 139.9万円 | 94.4万円 | 30.8万円 |
| 400万円 | 174.6万円 | 150.2万円 | 104.7万円 | 41.1万円 |
| 500万円 | 184.9万円 | 160.5万円 | 114.9万円 | 51.4万円 |
| 600万円 | 195.2万円 | 170.8万円 | 125.2万円 | 61.7万円 |
| 700万円 | 205.4万円 | 181万円 | 135.5万円 | 71.9万円 |
| 800万円 | 215.7万円 | 191.3万円 | 145.8万円 | 82.2万円 |
| 1,000万円 | 236.3万円 | 211.9万円 | 166.3万円 | 102.8万円 |
この表の前提
・在職中の死亡(短期要件)として、厚生年金の加入月数を300月とみなして計算
・平均年収はすべて平成15年4月以降の期間(賞与を含む平均標準報酬額)として扱っています
・令和8年度の年金額(遺族基礎年金847,300円・中高齢寡婦加算635,500円)
・金額は年額。2028年4月の改正前の水準です
金額はすべて年額です。上の計算ツールなら、加入月数や受給開始年も指定できます。
この表でいちばん目を引くのは、右の2列の落差だと思います。 同じ年収500万円でも、子が2人いる妻なら年184.9万円、 子のいない40歳未満の妻なら年51.4万円です。遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」にしか支給されないためで、 子がいなければ遺族厚生年金だけになります。
さらに、この差は将来もっと広がります。 2028年4月の改正で、子のない配偶者の遺族厚生年金は原則5年間の有期給付になるからです。 生命保険の必要保障額を考えるときは、この一覧の右2列が 自分の家族構成に当てはまるかどうかを先に確かめてください。
遺族年金は2階建て
遺族年金には遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金(厚生年金)があり、 会社員・公務員だった方が亡くなった場合は両方が支給されることがあります。
遺族基礎年金(令和8年度)
対象は「子のある配偶者」または「子」です。 ここでいう「子」とは、18歳になった年度の3月31日までの子 (障害等級1級・2級の場合は20歳未満)を指します。
| 内訳 | 年額 |
|---|---|
| 基本額 | 847,300円 |
| 子の加算(1人目・2人目) | 各 243,800円 |
| 子の加算(3人目以降) | 各 81,300円 |
子がいない配偶者には遺族基礎年金は支給されません。また子が18歳到達年度末を迎えると支給が終わります。 ここが遺族年金の設計で最も大きな落とし穴です。
遺族厚生年金
亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が支給されます。 報酬比例部分は次の式で計算します。
平成15年3月以前の平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 加入月数
+ 平成15年4月以降の平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
短期要件と長期要件(300月みなし)
在職中に亡くなった場合など短期要件に該当すると、 厚生年金の加入月数が300月(25年)に満たなくても300月とみなして計算されます。若くして亡くなった場合の保障を厚くする仕組みです。
短期要件に当たるのは次のいずれかです。
- 厚生年金の被保険者である間に亡くなったとき
- 厚生年金の被保険者期間中の傷病がもとで、初診日から5年以内に亡くなったとき
- 障害等級1級・2級の障害厚生年金を受けられる方が亡くなったとき
これに対し、老齢厚生年金の受給資格期間(25年以上)を満たした方が亡くなった場合は長期要件となり、実際の加入月数で計算されます。
中高齢寡婦加算(40〜65歳の妻)
遺族基礎年金を受けられない妻に対する補填として、 40歳から65歳になるまでの間、年額635,500円(令和8年度)が加算されます。
対象になるのは次のいずれかに当たる妻です。
- 夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない場合
- 子のある妻として遺族基礎年金を受けていたが、 子が18歳到達年度末に達して遺族基礎年金を受けられなくなった場合
注意点が2つあります。まず妻のみが対象で、夫には支給されません。 そして長期要件の場合、亡くなった夫の厚生年金加入期間が20年以上必要です。
2028年4月の改正:5年有期給付化
2025年に成立した年金制度改正法により、2028年4月から遺族厚生年金の仕組みが大きく変わります。
18歳到達年度末までの子がいない配偶者について、 遺族厚生年金は原則5年間の有期給付になります。 ただし単純な打ち切りではありません。有期給付の期間中は有期給付加算として報酬比例部分の4分の1が上乗せされ、 本体の4分の3と合わせて報酬比例部分の100%が支給されます。 現行(4分の3)と比べると約1.33倍の水準です。
対象になる人
- 女性:施行時点で40歳未満(かつ子がいない)
- 男性:60歳未満(かつ子がいない)
この改正の主眼は、実は男性の受給要件の緩和にあります。 現行制度では、妻を亡くした夫は55歳以上でなければ遺族厚生年金を受けられず、 支給開始も60歳からという厳しい制限がありました。 改正後は男女同じ条件になります。
対象年齢は施行から相当期間(約20年)をかけて段階的に40歳未満から60歳未満へ引き上げられる予定のため、 施行直後に影響を受ける人は限られます。 厚生労働省の推計では、女性は年間約250人、男性は約1万6千人が対象とされています。
5年経過後も継続できる場合
障害の状態にある方や、収入が十分でない方は5年経過後も継続して給付を受けられます。 単身で年収約122万円以下なら全額が継続支給され、 収入が増えるにつれて逓減する仕組みです。
また、すでに受給している方、60歳以降に受給権が発生した方、 子を養育中の方は影響を受けません。
65歳以降の併給調整
65歳になって自分の老齢厚生年金を受け取れるようになると、老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金はその分だけ支給停止されます。 両方を満額もらえるわけではないため、 老後の生活設計では二重計上しないよう注意してください。
ケース別にいくらもらえるか(計算例)
実際に上のツールで計算した金額です。年額は、遺族基礎年金・子の加算・ 遺族厚生年金・中高齢寡婦加算の合計です。
| ケース | 年額 | 月あたり | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 38歳の妻・子2人(8歳と5歳)/夫は会社員・平均標準報酬額35万円・加入18年・在職中に死亡 | 1,766,528円 | 147,210円 | 遺族基礎847,300+子の加算487,600+遺族厚生431,628 |
| 45歳の妻・子1人(16歳)/平均標準報酬額40万円・加入22年・在職中に死亡 | 1,584,390円 | 132,032円 | 遺族基礎847,300+子の加算243,800+遺族厚生493,290 |
| 52歳の妻・子なし/平均標準報酬額45万円・加入30年・退職後に死亡 | 1,301,440円 | 108,453円 | 遺族厚生665,940+中高齢寡婦加算635,500 |
| 30歳の妻・子なし/平均標準報酬額30万円・加入8年・在職中に死亡 | 369,966円 | 30,830円 | 遺族厚生369,966のみ(300月みなしを適用) |
この4例を並べると、遺族年金の設計がはっきり見えます。子がいるかどうかで金額が3倍から5倍変わります。遺族基礎年金(847,300円)と子の加算は「子のある配偶者」にしか支給されないためです。
3例目の52歳・子なしで年130万円になっているのは、 中高齢寡婦加算(635,500円)が乗っているからです。この加算は妻が65歳になると止まります。 4例目の30歳・子なしでは加算が何もないため、月3万円ほどにしかなりません。同じ「子のいない妻」でも、年齢によってここまで差が出ます。
いずれも令和8年度の年金額で計算しています。 経過的寡婦加算や従前額保障など一部の加算は含めていません。
生命保険の必要保障額を考えるときに
生命保険をいくらかけるべきかは、 「遺された家族に必要な生活費」から「遺族年金などの公的保障」を引いて考えます。 この計算をせずに保険に入ると、過剰な保障で保険料を払い過ぎることになりがちです。
特に注意したいのは、子が18歳到達年度末を迎えた時点で遺族基礎年金が止まることと、 2028年以降は子のない配偶者の遺族厚生年金が5年で終わりうることです。 遺族年金は「ずっと同じ額が続く」ものではないため、 年ごとの受給額の推移を踏まえて必要保障額を出してください。
よくある質問
遺族年金はいつまでもらえますか
子のある配偶者に支給される遺族基礎年金は、末子が18歳になった年度の3月31日で終わります。遺族厚生年金は原則として一生涯ですが、2028年4月以降に受給権が発生する子のない配偶者(女性は40歳未満、男性は60歳未満)は原則5年間の有期給付になります。中高齢寡婦加算は妻が65歳になるまでです。
夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合で違いはありますか
現行制度では違います。妻を亡くした夫は55歳以上でなければ遺族厚生年金を受けられず、支給開始も60歳からです。中高齢寡婦加算も妻にしか支給されません。2028年4月の改正では、この男女差が解消され同じ条件になります。
自分の老齢厚生年金と両方もらえますか
両方を満額もらうことはできません。65歳以降は自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金はその分だけ支給停止されます。老後の生活設計を立てるときに二重計上しないよう注意してください。
「遺族年金 シュミレーション」で検索してたどり着きましたが、このページで合っていますか
合っています。正しい表記は「シミュレーション」ですが、どちらで検索されても同じこのページです。上のツールで、年齢・子の人数・平均標準報酬額を入れるとその場で金額が出ます。
平均標準報酬額がわかりません
ねんきん定期便や、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認できます。おおまかには、賞与を含めた年収を12で割った額に近くなります。正確な金額は年金事務所でも照会できます。
遺族年金に税金はかかりますか
かかりません。遺族基礎年金も遺族厚生年金も非課税です(国民年金法第25条・厚生年金保険法第41条)。所得税も住民税もかからず、確定申告に載せる必要もありません。相続税の対象にもなりません。ただし、亡くなった方が受け取るはずだった未支給年金を遺族が請求した場合は、その遺族の一時所得として所得税の対象になります。
遺族年金がもらえないのはどんな場合ですか
主なものは4つあります。第一に、亡くなった方の保険料納付要件を満たしていない場合(死亡日の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上の納付、または直近1年間に未納がないこと)。第二に、生計を維持されていたと認められない場合で、遺族の前年収入が850万円以上(所得655.5万円以上)だと原則として対象外です。第三に、遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象なので、子がいない場合は支給されません。第四に、受給権者が再婚したり、養子になったりすると失権します。
子どもがいないと、かなり少なくなりますか
少なくなります。遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象なので、子がいなければ遺族厚生年金だけになります。たとえば亡くなった方の平均年収500万円の場合、子2人の妻なら年約185万円ですが、子のいない40歳未満の妻なら年約51万円です。40歳以上65歳未満の妻には中高齢寡婦加算(年635,500円)が付くので約115万円になります。このページの早見表で、年収ごとの差を確認できます。
経過的寡婦加算とは何ですか
中高齢寡婦加算は妻が65歳になると終わりますが、その代わりに65歳から自分の老齢基礎年金が始まります。ただし昭和61年3月以前は国民年金への加入が任意だったため、昭和31年4月1日以前生まれの妻は老齢基礎年金が中高齢寡婦加算より少なくなることがあります。その差を埋めるために上乗せされるのが経過的寡婦加算です。生年月日に応じて額が決まり、若い世代ほど少なくなります。当サイトの計算には含めていないため、該当する方は年金事務所でご確認ください。
出典・根拠
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」
- 厚生労働省「年金制度改正法 主な改正内容」
最終更新:2026年9月1日/本ページの計算結果は概算です。 経過的寡婦加算や従前額保障など一部の加算は計算に含めていません。 正確な金額は年金事務所にご確認ください。
遺族基礎年金・遺族厚生年金の申請ガイド
計算して金額が分かっても、出す場所と期限を間違えると受け取れません。 ここは一次資料で確認した手続きの実務だけをまとめています。
① どこに出すか
年金事務所または街角の年金相談センター
遺族基礎年金だけを請求する場合は、お住まいの市区町村役場が窓口です。ただし亡くなった方の死亡日が国民年金第3号被保険者期間中だった場合は年金事務所になります。遺族厚生年金(遺族基礎年金を併せて請求する場合を含む)は年金事務所です。
誰が出すか:遺族が本人で請求します。
② 何を持っていくか
年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)/遺族基礎年金のみの場合は年金請求書(国民年金遺族基礎年金)(様式第105号(遺族厚生)/様式第108号(遺族基礎))
- 戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し(死亡日以降に交付されたもの)
- 世帯全員の住民票の写し、死亡者の住民票の除票
- 請求者と子の収入が確認できる書類(所得証明書・在学証明書など)
- 死亡診断書(死体検案書)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
- 受取先金融機関の通帳等(請求者本人名義)
戸籍等は「受給権発生日以降で、提出日から6か月以内に交付されたもの」が必要です。年金請求書にマイナンバーを記入すると、戸籍・住民票・所得証明書などの添付を省略できる場合があります。
③ いつまでに出すか
年金を受ける権利そのものの時効は5年で、起算日は死亡日の翌日です。さかのぼって受け取れるのは原則5年分までです。
死亡一時金は2年と短く、こちらは起算日も死亡日の翌日です。未支給年金は年金受給権者死亡届と併せて請求します。
④ 申請から入金まで
厚生労働省が定める標準処理期間(サービススタンダード)は、加入状況の再確認を要しない場合で1か月以内、要する場合で2か月以内です。日本年金機構の遺族年金ガイドでは、年金証書が届くまで1か月程度(確認を要する場合は2か月程度)、証書が届いてから約1〜2か月後に初回の振込が始まるとしています。請求書の提出から初回入金までおおむね2〜4か月が目安です。以後は偶数月に2か月分ずつ振り込まれます。
よくある間違い
| 窓口を間違えて二度手間になる | 遺族基礎年金だけなら市区町村役場ですが、死亡日が第3号被保険者期間中なら年金事務所、遺族厚生年金なら年金事務所です。先に確認してから出向いてください。 |
|---|---|
| 生計維持要件の収入基準を見落とす | 「生計を同じくしていること」に加えて「前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること」の両方が必要です。請求者の収入確認書類の不備は差し戻しの原因になります。 |
| 保険料納付要件を確認しないまま請求する | 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに納付済期間と免除期間が国民年金加入期間の3分の2以上必要です。死亡日が令和18年3月末までで死亡日に65歳未満なら、直近1年間に未納がなければよいという特例があります。 |
| 遺族基礎年金の対象を誤解する | 遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」だけが対象です。子のない配偶者は受け取れません。遺族厚生年金は配偶者・子>父母>孫>祖父母の順位で、子のない30歳未満の妻は5年間のみです。 |
受けられなかったときに代わりに使える制度
- 寡婦年金 国民年金第1号被保険者として納付済+免除期間が10年以上ある夫が亡くなり、婚姻関係10年以上で生計を維持されていた妻に、60歳から65歳になるまで支給されます。
- 死亡一時金 第1号被保険者として納付済期間が36月以上ある方が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに亡くなったときの一時金で、12万円〜32万円です。時効2年と短い点に注意してください。
- 労災保険の遺族(補償)等給付 業務上・通勤による死亡の場合です。所轄の労働基準監督署に請求します。時効は死亡日の翌日から5年(葬祭料は2年)です。
- 審査請求 不支給の決定に不服があるときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官(地方厚生局)へ審査請求できます。
出典(2026/09/02確認):遺族厚生年金を受けられるとき(日本年金機構)/遺族年金ガイド 令和8年度版(日本年金機構)/遺族年金の請求手続きのご案内(添付書類一覧・日本年金機構)/年金の時効(日本年金機構)