傷病手当金の計算シミュレーター

執筆:元取締役の総務担当最終更新:2026年9月11日

病気やケガで働けない期間に健康保険から支給される傷病手当金の金額を計算します。 2022年1月から適用されている通算1年6ヶ月のルールに対応し、 復職して再び休職した場合の残日数も管理できます。 さらに、退職後も受給を継続できるかの判定もできます。

通算1年6ヶ月ルール・退職後の継続給付の判定に対応
おおよその月給(額面)で代用しても大きくは変わりません
2022年1月から支給期間は「通算」1年6ヶ月(約546日)です。 復職して再び休職した場合、残日数が引き継がれます

受給総額の目安 580,029円

支給日額6,667円
月額の目安200,010円
支給される日数87日待期3日を除く
通算の残日数459日/ 546日

標準報酬日額 10,000円 × 2/3 = 支給日額 6,667円

退職後も受給を続けられるか判定する

傷病手当金は、条件を満たせば退職後も受給を継続できます(資格喪失後の継続給付)。 ただし要件の1つでも欠けると受給できません。以下で判定できます。

✅ 継続給付を受けられる見込みです

広告

標準報酬月額別 傷病手当金の早見表

自分の標準報酬月額がわかれば、1日いくら・1か月いくらになるかはこの表で読めます。この表は上の計算ツールと同じエンジンで作っています。

標準報酬月額標準報酬日額支給日額
(3分の2)
30日分の目安通算1年6か月
受け取った場合
16万円5,330円3,553円106,590円194万円
18万円6,000円4,000円120,000円218.4万円
20万円6,670円4,447円133,410円242.8万円
22万円7,330円4,887円146,610円266.8万円
24万円8,000円5,333円159,990円291.2万円
26万円8,670円5,780円173,400円315.6万円
28万円9,330円6,220円186,600円339.6万円
30万円10,000円6,667円200,010円364万円
32万円10,670円7,113円213,390円388.4万円
34万円11,330円7,553円226,590円412.4万円
36万円12,000円8,000円240,000円436.8万円
38万円12,670円8,447円253,410円461.2万円
41万円13,670円9,113円273,390円497.6万円
44万円14,670円9,780円293,400円534万円
47万円15,670円10,447円313,410円570.4万円
50万円16,670円11,113円333,390円606.8万円
56万円18,670円12,447円373,410円679.6万円
62万円20,670円13,780円413,400円752.4万円
65万円21,670円14,447円433,410円788.8万円

この表の前提
・支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均が、表の金額だった場合
・標準報酬日額は10円未満を四捨五入、支給日額は1円未満を四捨五入
・会社から給与が支払われている期間は、その分が差し引かれます
・総額は通算1年6か月(546日)を満額受け取った場合の理論値です

自分の標準報酬月額がわからないときは、給与明細の厚生年金保険料を 0.0915(18.3%の半分)で割ってみてください。おおよその標準報酬月額が出ます。 姉妹サイトの標準報酬月額と保険料額表には全50等級の一覧があるので、月給から等級を引くこともできます。

傷病手当金の計算方法

支給日額は次の式で計算します。

支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3

「÷30日」の結果は10円未満を四捨五入し、「×2/3」の結果は1円未満を四捨五入します。 たとえば標準報酬月額の平均が30万円なら、標準報酬日額10,000円、支給日額6,667円です。

なお、加入期間が12ヶ月に満たない場合は、 「加入期間の平均額」と「保険者ごとの全被保険者の標準報酬月額の平均額」の いずれか低い方で計算されます。

待期3日と支給開始のタイミング

傷病手当金は、連続して3日間仕事を休んだ後、4日目から支給されます。 この最初の3日間を待期といい、この期間は支給されません。 待期は連続している必要があり、有給休暇や公休日も待期に含めることができます。

通算1年6ヶ月ルール(2022年1月〜)

支給期間は支給開始日から通算して1年6ヶ月(約546日)です。 2022年1月の法改正で「暦の上で1年6ヶ月」から「通算」に変わりました。 これにより、途中で復職して給与が支払われた期間は日数にカウントされず、 再び休職した場合に残りの日数を受給できるようになりました。 がん治療などで通院と就労を繰り返すケースに配慮した改正です。

退職後も受給を続けられる条件

在職中に受給を開始していれば、退職後も引き続き受給できます(資格喪失後の継続給付)。 ただし次の3つをすべて満たす必要があります。

  1. 退職日までに、継続して1年以上の被保険者期間があること(任意継続の期間は除く)
  2. 退職日の時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態(労務不能)であること
  3. 退職日に出勤していないこと

特に3つ目が落とし穴です。最終出社日に挨拶や引き継ぎのために出社してしまうと、 その日が「労務可能だった日」とみなされ、継続給付を受けられなくなるケースがあります。 退職日と最終出社日は別に設定するのが安全です。

退職後の傷病手当金と失業保険の関係

傷病手当金と失業保険(雇用保険の基本手当)は同時に受給できません。 失業保険は「働ける状態であること」が前提であるのに対し、 傷病手当金は「働けない状態」が前提だからです。

退職後すぐに働けない場合は、ハローワークで受給期間の延長(最長で離職日翌日から4年まで)を申請しておきます。 これにより、傷病手当金の受給が終わって働ける状態になってから、 失業保険を受け取ることができます。 この延長申請は離職日の翌日から早い段階で手続きが必要なので、 退職時に忘れずに行ってください。

他の給付と重なったときの調整

傷病手当金は「働けない期間の所得を補う」ための給付なので、 同じ目的の給付を受け取っていると差額だけになるか、 支給されなくなります。実務でつまずきやすいところなので、 ケースごとに整理します。

重なるものどうなるか
会社から給与が出ている給与の額が傷病手当金より少なければ差額が支給されます。 給与のほうが多ければ不支給です。有給休暇を使った日も「給与あり」として扱われます
出産手当金出産手当金が優先され、傷病手当金は支給されません。 ただし傷病手当金のほうが日額が高い場合は、その差額が支給されます
障害厚生年金・障害手当金同一の傷病によるものなら傷病手当金は不支給。 障害厚生年金の日額換算が傷病手当金より少なければ差額が支給されます。 障害手当金(一時金)の場合は、その額に達するまで不支給です
労災の休業補償給付同一の傷病なら傷病手当金は支給されません。 労災は「業務上・通勤途上」、傷病手当金は「業務外」が対象で、 そもそも守備範囲が分かれています
老齢厚生年金・老齢基礎年金退職後の継続給付を受けている場合のみ調整されます。 在職中は調整されません。年金の日額換算が傷病手当金より少なければ差額が支給されます
失業保険(雇用保険の基本手当)同時には受け取れません。失業保険は「働ける状態」が前提だからです。 受給期間の延長を申請しておき、働ける状態になってから受け取ります(下で詳述)

共通しているのは「引かれて0になるのではなく、差額は出る」という考え方です。 「他の給付があるからどうせもらえない」と決めつけて申請しないと、 受け取れたはずの差額を逃すことになります。迷ったら加入している健康保険に確認してください。

受給中も、社会保険料と住民税は払い続けます

傷病手当金には所得税も住民税もかかりません。 健康保険法第62条により差押えも禁止されていて、 確定申告に載せる必要もありません。

問題はその先です。休んでいるあいだも、健康保険料・厚生年金保険料・住民税の支払いは続きます。 給与が出ていないので天引きできず、 会社が立て替えて後から精算するか、自分で振り込むことになります。

  • 社会保険料:休業中も被保険者のままなので、本人負担分は発生し続けます。 産前産後休業・育児休業のような免除制度は、病気による休職にはありません
  • 住民税:前年の所得に対して課税されるため、 休職中でも前年に働いていた分の請求が来ます。 給与天引き(特別徴収)ができなくなると、 自分で納付する普通徴収に切り替わることがあります
  • 所得税:傷病手当金は非課税なので、この分にはかかりません

日額が標準報酬日額の3分の2ということは、もともと収入が3分の1減っている状態です。 そこから社会保険料と住民税を払うので、手元に残る額はさらに小さくなります。 休職の見通しを立てるときは、この2つを必ず計算に入れてください。

よくある質問

健康保険の加入期間が12か月に満たない場合はどう計算しますか?

支給開始日以前の加入期間が12か月に満たないときは、「支給開始日の属する月以前の直近の各月の標準報酬月額の平均」と「加入している健康保険の全被保険者の標準報酬月額の平均額」を比べて、低いほうを使います。協会けんぽの場合、後者は令和7年度で320,000円です(令和8年度の値は公表され次第、当サイトも更新します)。転職や新卒入社の直後に休職した場合、自分の標準報酬月額が高くてもこの額まで引き下げられることがあります。

うつ病・適応障害でも対象になりますか?

対象になります。医師が労務不能と認めれば、傷病の種類は問われません。申請書には医師の意見欄があるため、主治医に記入を依頼します。精神疾患は復職と再休職を繰り返しやすいのですが、2022年1月から支給期間が「通算」1年6か月になったため、復職していた期間は日数を消費しません。このページの計算ツールで、すでに受給した日数を入れると残日数がわかります。

申請はいつまでにすればよいですか?

労務不能であった日ごとに、その翌日から2年で時効になります。さかのぼって請求することも可能です。実務上は1か月ごとにまとめて申請するのが一般的で、その都度、医師の意見欄と事業主の証明欄の記入が必要になります。

待期3日は連続していないとだめですか?

連続している必要があります。3日連続して仕事を休んだ時点で待期が完成し、4日目以降が支給の対象になります。飛び飛びで3日休んでも待期は完成しません。なお待期の3日間には、土日祝などのもともとの休日や、有給休暇を使った日も含められます。給与が支払われているかどうかは待期の完成には関係ありません。

受給中にアルバイトをしてもいいですか?

原則としてできません。傷病手当金は「労務不能であること」が支給の条件なので、働ける状態だと判断されると支給が止まります。本業を休みながら別の仕事をしていた場合、労務不能ではなかったとして不支給になるか、すでに受け取った分の返還を求められることがあります。復職に向けたリハビリ出勤などは、事前に健康保険の保険者に相談してください。

退職したらもらえなくなりますか?

要件を満たせば退職後も受け取り続けられます(資格喪失後の継続給付)。必要なのは、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、退職日に労務不能であること、退職日に出勤していないことの3つです。3つめが見落とされやすく、最終出社日を退職日にしてしまうと受け取れなくなります。このページの計算ツールで判定できます。

傷病手当金に税金はかかりますか?

かかりません。健康保険法第62条により、傷病手当金は非課税で、差押えも禁止されています。確定申告に載せる必要もありません。ただし休職中も健康保険料・厚生年金保険料・住民税の支払いは続くので、実際に手元に残る額は支給額より小さくなります。

広告

出典・根拠

最終更新:2026年9月11日/本ページの計算結果は概算です。 実際の支給額は加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の決定によります。

健康保険の傷病手当金の申請ガイド

計算して金額が分かっても、出す場所と期限を間違えると受け取れません。 ここは一次資料で確認した手続きの実務だけをまとめています。

① どこに出すか

加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部

勤務先が健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合が窓口です。年金事務所ではありません(年金事務所は資格取得届・算定基礎届など事業所の届出を扱います)。郵送・窓口・電子申請のいずれでも提出できます。

誰が出すか:申請書に事業主が記入する欄があるため、実務上は勤務先を経由します。ただし「事業主経由が必須」と明記した案内はなく、本人からの郵送・電子申請も可能です。

② 何を持っていくか

健康保険傷病手当金支給申請書

  • 障害厚生年金・障害手当金・老齢退職年金を受給中の場合は年金証書等のコピー
  • 労災保険の休業補償給付を受給または請求中の場合は支給決定通知書のコピー等
  • 交通事故など第三者の行為による傷病の場合は「第三者の行為による傷病届」
  • マイナンバーを記載する場合は本人確認書類

全4ページで、1〜2ページ目が本人記入、3ページ目が事業主記入、4ページ目が医師などの療養担当者記入です。令和5年1月から受取代理人欄が削除され、振込先は本人名義の口座のみになりました。

③ いつまでに出すか

労務不能であった日ごとに、その翌日から2年です。

時効は申請期間の全体にまとめてかかるのではなく、休んだ1日1日について別々に進みます。長期間まとめて申請すると、古い日の分だけが時効で落ちます。協会けんぽは給与の締切日ごとに1か月単位で申請することを勧めています。

④ 申請から入金まで

協会けんぽは「審査の結果お支払い可能であれば、受付から10営業日以内にお支払いいたします」と公表しています。支部の案内では申請書の到着から2週間程度としているところもあります。不備で返戻されると再受付からまた同じ期間がかかります。

よくある間違い

4ページ目(医師の記入欄)の不整合で返戻される協会けんぽが挙げる返戻理由の筆頭です。医師が証明した労務不能の期間と、本人が書いた申請期間が一致していない、傷病名が本人記入欄と食い違う、診療実日数や症状経過が空欄、といったものです。医師の記入を先に受けてから本人欄を合わせるのが安全です。
退職日に出勤して継続給付が受けられなくなる退職後も受給を続けるには、退職日に労務不能であることが必要です。挨拶や引き継ぎのための出社も「出勤」と判断されるおそれがあります。退職日は出勤しないでください。当ツールの判定機能でも確認できます。
待期3日が連続していない連続した3日間が必要です。土日・祝日や有給休暇も待期に含められますが、途中で1日でも出勤すると連続3日が成立せず、数え直しになります。
事業主記入欄を申請期間だけで書いてしまう勤務状況欄・賃金支給状況欄は、申請期間だけでなく給与の締切日を含む賃金計算期間の全体を記入する必要があります。出勤日にのみ「○」を付け、有給・公休・欠勤には記号を付けません。

受けられなかったときに代わりに使える制度

  • 労災保険の休業(補償)等給付 業務中・通勤中のけがや病気には健康保険が使えません。所轄の労働基準監督署に請求します。給付率は保険給付60%+特別支給金20%の合計80%で、傷病手当金の約67%より高くなります。待期3日に連続の要件がなく通算である点も違います。
  • 障害年金 厚生労働省も傷病手当金の受給者向けに案内しています。障害の状態に該当すれば受給できる場合があります。相談先は年金事務所・街角の年金相談センターです。同一の傷病について障害厚生年金と傷病手当金は併給調整され、年金が優先して差額が支給されます。
  • 通算1年6か月を使い切った後 健康保険からの傷病手当金はそこで終わります。障害年金の検討、退職している場合は雇用保険の基本手当(受給期間の延長申請)などが次の選択肢になります。

一次資料で確認できなかった点

推測で埋めずに、確認できなかったことをそのまま書いています。 確認でき次第この欄を更新します。

  • 健康保険組合に加入している場合の具体的な窓口名称と様式(組合ごとに異なります)
  • 令和8年度の「全被保険者の標準報酬月額の平均額」(被保険者期間が12か月未満の場合の計算に使う額。協会けんぽのFAQは令和7年4月1日以降の支給開始について32万円としています)

出典(2026/09/02確認):傷病手当金(協会けんぽ)/健康保険傷病手当金支給申請書(協会けんぽ)/傷病手当金 記入漏れの多い点をまとめました(協会けんぽ)/健康保険給付の時効(協会けんぽ)