高額療養費の計算シミュレーター(年間上限つき)
医療費が高額になったとき、自己負担がいくらで済むかを計算します。2026年8月に新設された「年間上限」による還付額も試算できます。 年間上限に対応した計算ツールは、調べた限りほかにありません。
1ヶ月の自己負担は 92,940円
年間上限による還付(令和8年8月に新設)
2026年8月から、月ごとの限度額とは別に年間の上限が設けられました。 集計期間は8月から翌年7月までで、暦年ではありません。 年間上限に達した分は保険者から還付されます。長期療養している人ほど恩恵が大きい仕組みです。
| 月 | 医療費 | 自己負担(月次適用後) |
|---|---|---|
| 8月 | 1,000,000円 | 92,940円 |
| 9月 | 1,000,000円 | 92,940円 |
| 10月 | 1,000,000円 | 92,940円 |
| 11月 | 1,000,000円 | 44,400円 |
| 12月 | 1,000,000円 | 44,400円 |
| 1月 | 1,000,000円 | 44,400円 |
| 2月 | — | — |
| 3月 | — | — |
| 4月 | — | — |
| 5月 | — | — |
| 6月 | — | — |
| 7月 | — | — |
年間上限(53万円)にはあと 117,980円 で到達します。
2026年8月に何が変わったのか
高額療養費制度の見直しは2024年12月に一度決定されましたが、 2025年3月に実施が見送られ、再検討されました。 その後2025年末のとりまとめで、2026年8月と2027年8月の2段階で実施することが決まりました。
- 2026年8月〜:月額の自己負担限度額を引き上げるとともに、年間上限を新設(所得区分は従来の5区分のまま)
- 2027年8月〜:所得区分を13区分に細分化し、 年収200万円未満の課税世帯の多数回該当を25%引き下げ
なお、ネット上には2024年12月時点の「凍結された案」の資料が今も残っています。 そちらは2026年8月から13区分に細分化する内容ですが、実際には施行されていません。金額を確認する際はご注意ください。
令和8年8月からの自己負担限度額(70歳未満)
| 区分 | 標準報酬月額 | ひと月の上限額 | 多数回該当 | 年間上限 |
|---|---|---|---|---|
| ア | 83万円以上 | 270,300円+(医療費−901,000円)×1% | 140,100円 | 168万円 |
| イ | 53万〜79万円 | 179,100円+(医療費−597,000円)×1% | 93,000円 | 111万円 |
| ウ | 28万〜50万円 | 85,800円+(医療費−286,000円)×1% | 44,400円 | 53万円 |
| エ | 26万円以下 | 61,500円 | 44,400円 | 53万円※ |
| オ | 住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 | 29万円 |
※区分エのうち標準報酬月額15万円以下と確認された方は年間上限41万円が適用されます。 この点は資料により記載が分かれているため、実際の適用は加入する保険者にご確認ください。
たとえば区分ウ(年収約370〜510万円)の方が1ヶ月に100万円の医療費がかかった場合、 窓口3割負担なら30万円ですが、自己負担限度額は 85,800+(1,000,000−286,000)×1%=92,940円で済みます。
新設された「年間上限」の仕組み
これまでの高額療養費はひと月ごとの限度額しかありませんでした。 そのため、毎月の医療費が限度額に届かない程度で長く続く人は、 年間で見ると大きな負担になっていました。
2026年8月に新設された年間上限は、この問題に対応するものです。 月ごとの自己負担が積み上がって年間の上限額に達すると、 それを超える分は保険者から還付されます(償還払い)。
注意すべきは集計期間です。年間とは8月から翌年7月までを指し、 暦年(1月〜12月)でも年度(4月〜3月)でもありません。 治療が年をまたぐ場合は、この区切りを意識してください。
多数回該当(4回目以降は大幅に安くなる)
直近12ヶ月間に高額療養費の支給を3回以上受けた場合、 4回目以降は自己負担限度額がさらに下がります。 区分ウなら44,400円、区分アでも140,100円です。 長期の治療では必ず確認してください。
世帯合算
同じ月に同じ世帯(同じ医療保険)で複数の自己負担がある場合、合算できます。 ただし70歳未満は1件21,000円以上の自己負担のみが合算の対象です。 21,000円未満の分は合算されないため、少額の受診が多くても効果は限られます。
限度額適用認定証を先に用意しておく
高額療養費は本来「いったん3割を窓口で払い、後から払い戻し」の制度で、 払い戻しには通常3ヶ月程度かかります。
事前に限度額適用認定証を取得して医療機関に提示すれば、 窓口での支払いが最初から自己負担限度額までで済みます。 入院が決まったら、まずこれを申請してください。 マイナ保険証を利用している場合は、認定証がなくても オンライン資格確認で同じ扱いになります。
対象にならない費用
高額療養費は保険適用の医療費が対象です。次のものは対象外です。
- 差額ベッド代(個室代)
- 入院中の食事代
- 先進医療の技術料
- 診断書などの文書料、日用品代
医療保険の必要性を検討する際は、この「対象外の費用」がいくらかかるかで考えるのが実際的です。
退職して収入が下がった場合
所得区分は保険料の算定基礎(標準報酬月額や前年所得)で決まるため、 退職直後は在職中の高い区分のままになることがあります。
国民健康保険に加入する場合、会社都合退職なら非自発的失業者の軽減により前年の給与所得が30%とみなされ、高額療養費の所得区分も下がります。 保険料が安くなるだけでなく医療費の上限も下がるため、 該当する方は必ず市区町村に申請してください。
出典・根拠
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 厚生労働省「高額療養費制度に関する参考資料」(令和8年8月〜/令和9年8月〜の限度額表)
- 協会けんぽ「令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」
- 協会けんぽ「高額療養費(給付と手続き)」
最終更新:2026年8月20日/本ページの計算結果は概算です。 実際の限度額・還付額は加入する健康保険の決定によります。