高額療養費の計算シミュレーター(年間上限つき)

執筆:元取締役の総務担当最終更新:2026年9月13日

医療費が高額になったとき、自己負担がいくらで済むかを計算します。2026年8月に新設された「年間上限」による還付額も試算できます。 年間上限に対応した計算ツールは、調べた限りほかにありません。

令和8年8月1日の新限度額・年間上限(新設)に対応
窓口負担額ではなく、医療費の総額を入れてください
6ヶ月(集計期間は2026年8月〜2027年7月)

1ヶ月の自己負担は 92,940円

窓口3割負担なら300,000円
自己負担限度額92,940円
高額療養費として戻る207,060円
4回目以降(多数回該当)44,400円

年間上限による還付(令和8年8月に新設)

2026年8月から、月ごとの限度額とは別に年間の上限が設けられました。 集計期間は8月から翌年7月までで、暦年ではありません。 年間上限に達した分は保険者から還付されます。長期療養している人ほど恩恵が大きい仕組みです。

月医療費自己負担(月次適用後)
8月1,000,000円92,940円
9月1,000,000円92,940円
10月1,000,000円92,940円
11月1,000,000円44,400円
12月1,000,000円44,400円
1月1,000,000円44,400円
2月——
3月——
4月——
5月——
6月——
7月——
年間の自己負担合計41.2万円
年間上限53万円
還付される額0円
最終的な負担41.2万円

年間上限(53万円)にはあと 117,980円 で到達します。

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2026年8月に何が変わったのか

高額療養費制度の見直しは2024年12月に一度決定されましたが、 2025年3月に実施が見送られ、再検討されました。 その後2025年末のとりまとめで、2026年8月と2027年8月の2段階で実施することが決まりました。

  • 2026年8月〜:月額の自己負担限度額を引き上げるとともに、年間上限を新設(所得区分は従来の5区分のまま)
  • 2027年8月〜:所得区分を13区分に細分化し、 年収200万円未満の課税世帯の多数回該当を25%引き下げ

なお、ネット上には2024年12月時点の「凍結された案」の資料が今も残っています。 そちらは2026年8月から13区分に細分化する内容ですが、実際には施行されていません。金額を確認する際はご注意ください。

令和8年8月からの自己負担限度額(70歳未満)

区分標準報酬月額ひと月の上限額多数回該当年間上限
ア83万円以上270,300円+(医療費−901,000円)×1%140,100円168万円
イ53万〜79万円179,100円+(医療費−597,000円)×1%93,000円111万円
ウ28万〜50万円85,800円+(医療費−286,000円)×1%44,400円53万円
エ26万円以下61,500円44,400円53万円※
オ住民税非課税世帯36,900円24,600円29万円

※区分エのうち標準報酬月額15万円以下と確認された方は年間上限41万円が適用され、令和9年8月以降に償還払いされます。

医療費別・所得区分別の自己負担額 早見表

いちばん知りたいのは「自分の場合いくら払うのか」だと思うので、金額で出しました。 医療費は保険が使える分の総額(10割)です。窓口で3割を払ったうえで、 限度額を超えた分が後から戻ってきます (限度額適用認定証やマイナ保険証を使えば、最初から下の金額だけの支払いで済みます)。

ひと月の自己負担額(70歳未満・多数回該当でない場合)
医療費(10割)窓口3割ならア
83万円以上
イ
53万〜79万円
ウ
28万〜50万円
エ
26万円以下
オ
住民税非課税世帯
10万円30,000円30,000円30,000円30,000円30,000円30,000円
30万円90,000円90,000円90,000円85,940円61,500円36,900円
50万円150,000円150,000円150,000円87,940円61,500円36,900円
100万円300,000円271,290円183,130円92,940円61,500円36,900円
200万円600,000円281,290円193,130円102,940円61,500円36,900円
300万円900,000円291,290円203,130円112,940円61,500円36,900円
500万円1,500,000円311,290円223,130円132,940円61,500円36,900円
1,000万円3,000,000円361,290円273,130円182,940円61,500円36,900円

医療費が増えても自己負担がほとんど増えないことが分かると思います。 区分ウなら、医療費100万円でも1,000万円でも自己負担の差は9万円ほどです。 区分エ・オにいたっては定額なので、医療費がいくらになっても金額は変わりません。

この表は手入力ではなく、上のシミュレーターと同じ計算エンジンから生成しています。 限度額が改定されれば表も自動で変わります。

新設された「年間上限」の仕組み

これまでの高額療養費はひと月ごとの限度額しかありませんでした。 そのため、毎月の医療費が限度額に届かない程度で長く続く人は、 年間で見ると大きな負担になっていました。

2026年8月に新設された年間上限は、この問題に対応するものです。 月ごとの自己負担が積み上がって年間の上限額に達すると、 それを超える分は保険者から還付されます(償還払い)。

注意すべきは集計期間です。年間とは8月から翌年7月までを指し、 暦年(1月〜12月)でも年度(4月〜3月)でもありません。 治療が年をまたぐ場合は、この区切りを意識してください。

年間上限がいちばん効くのは、重い人ではありません

制度の説明を読むと「長期療養者のための制度」と書かれています。それは正しいのですが、毎月の限度額まで払っている人ほど、年間上限で戻る額は小さくなります。 4ヶ月目から多数回該当で負担が下がるためです。

実際、多数回該当の金額を12ヶ月払い続けた場合の年間合計と、年間上限を並べるとこうなります。

多数回該当を1年続けた場合の負担と、年間上限の関係
区分年間上限多数回該当×12ヶ月差月あたりに直すと
区分ア
標準報酬月額83万円以上
1,680,000円1,681,200円1,200円140,000円
区分イ
標準報酬月額53万〜79万円
1,110,000円1,116,000円6,000円92,500円
区分ウ
標準報酬月額28万〜50万円
530,000円532,800円2,800円44,167円
区分エ
標準報酬月額26万円以下
530,000円532,800円2,800円44,167円
区分オ
住民税非課税世帯
290,000円295,200円5,200円24,167円

差はどの区分でも1万円未満です。つまり年間上限は、多数回該当を1年間払い続けた額をわずかに下回る水準に設定されています。 毎月上限まで払っている人にとっては、ほとんど追加の救済になりません。

では誰のための制度かというと、毎月の限度額には届かないが、それなりの負担が1年続く人です。 区分ウ(標準報酬月額28万〜50万円)で、毎月の医療費が一定額続いた場合を計算しました。

区分ウで、同じ医療費が12ヶ月続いた場合の年間負担
毎月の医療費毎月の自己負担ひと月の限度額に到達年間上限がなければ年間上限あり戻る額
10万円30,000円届かない360,000円360,000円—
15万円45,000円届かない540,000円530,000円10,000円
20万円60,000円届かない720,000円530,000円190,000円
25万円75,000円届かない900,000円530,000円370,000円
30万円85,940円到達する657,420円530,000円127,420円
100万円92,940円到達する678,420円530,000円148,420円

戻る額がいちばん大きいのは、毎月の医療費が25万円のときで370,000円です。 このとき窓口で払う額は月75,000円。 ひと月の限度額85,800円に届かないため、これまでは高額療養費が1円も適用されていませんでした。 年間で90万円払っていた人が53万円で済むようになったわけで、 この層にとっては制度の意味が大きく変わります。

逆に医療費が月100万円になると、毎月の限度額に達して多数回該当も効くため、 年間の負担は678,420円。 年間上限で戻るのは148,420円にとどまります。

自分が年間上限に届くかどうかは、 毎月の自己負担が44,167円(区分ウの場合)を超えて続くかどうかが目安になります。 上の表の「月あたりに直すと」の列が、区分ごとのその金額です。

多数回該当(4回目以降は大幅に安くなる)

直近12ヶ月間に高額療養費の支給を3回以上受けた場合、 4回目以降は自己負担限度額がさらに下がります。 区分ウなら44,400円、区分アでも140,100円です。 長期の治療では必ず確認してください。

世帯合算

同じ月に同じ世帯(同じ医療保険)で複数の自己負担がある場合、合算できます。 ただし70歳未満は1件21,000円以上の自己負担のみが合算の対象です。21,000円未満の分は合算されないため、少額の受診が多くても効果は限られます。 同じ病院でも医科と歯科は別、入院と外来も別に数えます。

限度額適用認定証を先に用意しておく

高額療養費は本来「いったん3割を窓口で払い、後から払い戻し」の制度で、 払い戻しには通常3ヶ月程度かかります。

事前に限度額適用認定証を取得して医療機関に提示すれば、 窓口での支払いが最初から自己負担限度額までで済みます。 入院が決まったら、まずこれを申請してください。 マイナ保険証を利用している場合は、認定証がなくても オンライン資格確認で同じ扱いになります。

対象にならない費用

高額療養費は保険適用の医療費が対象です。次のものは対象外です。

  • 差額ベッド代(個室代)
  • 入院中の食事代
  • 先進医療の技術料
  • 診断書などの文書料、日用品代

医療保険の必要性を検討する際は、この「対象外の費用」がいくらかかるかで考えるのが実際的です。

退職して収入が下がった場合

所得区分は保険料の算定基礎(標準報酬月額や前年所得)で決まるため、 退職直後は在職中の高い区分のままになることがあります。

国民健康保険に加入する場合、会社都合退職なら非自発的失業者の軽減により前年の給与所得が30%とみなされ、高額療養費の所得区分も下がります。 保険料が安くなるだけでなく医療費の上限も下がるため、 該当する方は必ず市区町村に申請してください。

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よくある質問

医療費が100万円かかりました。いくら払うことになりますか?

所得区分によって変わります。会社員で標準報酬月額28万〜50万円(区分ウ、年収でおよそ370万〜510万円)の方なら92,940円です。窓口3割なら30万円ですが、高額療養費でここまで下がります。標準報酬月額53万〜79万円(区分イ)なら183,130円、83万円以上(区分ア)なら271,290円、26万円以下(区分エ)なら61,500円、住民税非課税世帯(区分オ)なら36,900円です。上の早見表に医療費ごとの金額を載せています。なお、この金額は保険が使える医療費だけの話で、差額ベッド代・食事代・先進医療の技術料は別に払います。

2026年8月に何が変わったのですか?

ひと月の自己負担限度額が引き上げられ、同時に「年間上限」が新設されました。所得区分は従来の5区分のままです。この見直しは2024年12月に一度決定されたあと2025年3月に実施が見送られ、再検討を経て2026年8月と2027年8月の2段階で実施することになった経緯があります。ネット上には見送られた2024年12月案の資料がそのまま残っていて、そちらは2026年8月から13区分に細分化する内容になっていますが、実際には施行されていません。金額を確認するときは、いつの資料かを必ず見てください。

「年間上限」は誰に効く制度ですか?

毎月の限度額には届かないけれど、それなりの負担が1年続く方です。たとえば区分ウで毎月25万円の医療費(窓口3割で75,000円)が12ヶ月続く場合、これまでは年90万円を払っていました。この金額はひと月の限度額85,800円に届かないため、高額療養費が1円も適用されていなかったのです。年間上限53万円ができたことで、37万円が戻ります。逆に、毎月の限度額に達するほど重い治療をしている方は、4ヶ月目から多数回該当で負担が下がるため、年間上限で戻る額はそれほど大きくなりません。多数回該当の額を12ヶ月払い続けた金額は、どの区分でも年間上限をわずかに(1万円未満)上回るだけの水準に設定されています。

年間上限の「年間」はいつからいつまでですか?

8月から翌年7月までの12ヶ月です。暦年(1月〜12月)でも年度(4月〜3月)でもありません。治療が年をまたぐ場合、この区切りで一度リセットされます。たとえば6月と9月に手術を受けると、集計期間が分かれてしまい、合算されません。手術の時期を選べる場合は、この区切りを意識すると負担が変わることがあります。

年間上限を超えた分は自動的に戻ってきますか?

償還払いです。保険者(協会けんぽや健康保険組合、市区町村)が計算して還付します。加入している保険者によって、申請が必要な場合と自動で振り込まれる場合があります。制度が始まったばかりなので、初回の還付がいつになるかも保険者ごとに違います。1年分の医療費の領収書は捨てずに取っておいてください。

限度額適用認定証は今も必要ですか?

マイナ保険証を使っていれば不要です。オンライン資格確認で所得区分が医療機関に伝わるため、窓口での支払いが最初から限度額までで済みます。マイナ保険証を使っていない場合は、事前に保険者へ申請して限度額適用認定証を受け取り、医療機関に提示してください。認定証がないと、いったん3割を払って後から払い戻しを受けることになり、戻るまでに3ヶ月程度かかります。入院が決まったら、まずこの確認をしてください。

家族の医療費は合算できますか?

同じ月に同じ医療保険に加入している家族の分は合算できます。ただし70歳未満は1件21,000円以上の自己負担だけが対象です。21,000円未満の分は何件あっても合算されないため、少額の通院が多いだけでは効果がありません。また「同じ医療保険」がポイントで、夫が協会けんぽ、妻が国民健康保険という場合は合算できません。同じ病院でも医科と歯科は別、入院と外来も別に計算します。

退職して収入が下がりました。限度額も下がりますか?

すぐには下がらないことがあります。所得区分は保険料の算定基礎(標準報酬月額や前年所得)で決まるため、退職直後は在職中の高い区分のままになりがちです。ただし国民健康保険に加入する場合、会社都合の退職なら「非自発的失業者の軽減」により前年の給与所得が30%とみなされ、保険料だけでなく高額療養費の所得区分も下がります。該当する方は市区町村への申請が必要です。忘れると医療費の上限が高いままになるので、離職票を持って早めに手続きしてください。

2027年8月にはまた変わるのですか?

変わります。所得区分が現在の5区分から13区分に細分化され、年収200万円未満の課税世帯については多数回該当の金額が25%引き下げられる予定です。ただし細分化後の各区分の具体的な金額は、この記事の作成時点で読み取れる形の一次資料を確認できていないため、当サイトでは表として掲載していません。確定した金額が公表され次第、このページに追加します。

出典・根拠

最終更新:2026年9月13日/本ページの計算結果は概算です。 実際の限度額・還付額は加入する健康保険の決定によります。