高年齢求職者給付金の計算シミュレーター(65歳以上)
65歳以上で退職した場合、失業保険(基本手当)ではなく高年齢求職者給付金が支給されます。 分割ではなく一時金として一括で支払われるのが特徴です。
一時金 288,800円(一括支給)
65歳以上の方は実年齢にかかわらず30歳未満の区分で計算されます(業務取扱要領54211)。 そのため基本手当日額の上限は7,450円です。
65歳を境に制度が変わります
64歳以下で退職すると、失業保険(基本手当)が所定給付日数(90〜330日)にわたって 分割で支給されます。しかし65歳以上で退職した場合は、高年齢求職者給付金という別の給付になり、一時金として一括支給されます。
| 算定基礎期間 | 支給日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 基本手当日額の30日分 |
| 1年以上 | 基本手当日額の50日分 |
日額は「30歳未満」の区分で計算されます
ここが最も誤解されやすい点です。 高年齢求職者給付金の日額は、実年齢が65歳以上であっても30歳未満の受給資格者と同じ区分で計算されます (雇用保険業務取扱要領54211)。
その結果、令和8年8月1日以降の基本手当日額の上限は7,450円、 賃金日額の上限は14,900円が適用されます。
「60〜64歳の区分(上限7,830円)より不利になる」と書かれていることがありますが、 実際に計算するとそうなるのは高所得の方に限られます。 30歳未満の区分は逓減の係数が小さいため、中間の賃金帯ではむしろ日額が高くなります。 当サイトの計算エンジンで両区分を比べると、逆転するのは賃金日額16,558円(月給およそ50万円)を超えたあたりからでした。
| 賃金日額 | 30歳未満区分(高年齢求職者) | 60〜64歳区分(参考) | どちらが高いか |
|---|---|---|---|
| 6,000円 | 4,683円 | 4,635円 | 30歳未満区分 |
| 10,000円 | 6,307円 | 5,348円 | 30歳未満区分 |
| 14,000円 | 7,000円 | 6,300円 | 30歳未満区分 |
| 16,000円 | 7,450円 | 7,200円 | 30歳未満区分 |
| 17,000円 | 7,450円 | 7,650円 | 60〜64歳区分 |
つまり、65歳以降に退職すると受取総額が減る主な理由は日額ではなく日数です。 150日分が50日分になることの影響のほうが、はるかに大きくなります。
65歳の誕生日の前日がポイント
雇用保険では年齢を「誕生日の前日」に到達したものとして扱います。 そのため65歳の誕生日の前々日までに退職すれば64歳扱いとなり、 基本手当(最大150日)を受けられる可能性があります。
たとえば算定基礎期間20年以上の人が64歳で自己都合退職すれば所定給付日数は150日ですが、 65歳を過ぎてからだと50日分の一時金です。 日額7,000円と仮定すると105万円と35万円で、約70万円の差になります。
ただし65歳以降も働き続けて収入を得る方が有利な場合も当然あるため、 退職日だけで判断せず、その後の働き方と合わせて考えてください。
月給別の早見表(いくら受け取れるか)
退職前6か月の月給から賃金日額を求め、上のツールで計算した金額です。 算定基礎期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分です。
| 退職前の月給 | 基本手当日額 | 30日分(1年未満) | 50日分(1年以上) | 参考:64歳で退職した場合(150日分) |
|---|---|---|---|---|
| 15万円 | 4,000円 | 120,000円 | 200,000円 | 600,000円 日額4,000円 |
| 20万円 | 5,037円 | 151,110円 | 251,850円 | 737,400円 日額4,916円 |
| 25万円 | 5,776円 | 173,280円 | 288,800円 | 789,600円 日額5,264円 |
| 30万円 | 6,307円 | 189,210円 | 315,350円 | 802,200円 日額5,348円 |
| 35万円 | 6,630円 | 198,900円 | 331,500円 | 814,650円 日額5,431円 |
| 40万円 | 6,744円 | 202,320円 | 337,200円 | 900,000円 日額6,000円 |
| 45万円 賃金日額は上限で頭打ち | 7,450円 | 223,500円 | 372,500円 | 1,012,500円 日額6,750円 |
| 50万円 賃金日額は上限で頭打ち | 7,450円 | 223,500円 | 372,500円 | 1,125,000円 日額7,500円 |
いちばん右の列は、算定基礎期間20年以上の方が64歳で自己都合退職した場合 (所定給付日数150日)の金額です。同じ月給30万円でも315,350円と802,200円で、およそ49万円の差になります。
ただし64歳で辞めれば得、という単純な話ではありません。 65歳まで働けば、その間の給与と厚生年金の加入期間が増えます。 月給30万円で1年働けば給与だけで360万円ですから、 給付の差49万円を大きく上回ります。退職日は、給付額ではなく「その後どう働くか」で決めてください。
この表は手入力ではなく、上のシミュレーターと同じ計算エンジンから生成しています。 賃金日額は「退職前6か月の賃金合計 ÷ 180」で算出し、令和8年8月1日改定の上限・下限を当てています。 毎年8月1日の改定で金額が変われば、表も自動で変わります。
受給の要件
- 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
- 失業の状態にあること(働く意思と能力があり、求職活動をしていること)
基本手当が「2年間に12ヶ月以上」を求めるのに対し、 高年齢求職者給付金は1年間に6ヶ月以上と要件が緩やかです。
待期と給付制限
待期7日間は基本手当と同様にあります。 自己都合退職の場合の給付制限も基本手当と同じ扱いで、 令和7年4月1日以降の離職なら原則1ヶ月です。 「3ヶ月」と書かれている情報は改正前のものです。
なお受給期限は離職日の翌日から1年で、 基本手当と違い傷病等による延長は認められません。 体調を崩していても期限内に手続きが必要なので注意してください。
年金との関係
65歳未満の「特別支給の老齢厚生年金」は、失業保険(基本手当)を受けると支給停止されます。 一方、高年齢求職者給付金の受給者は65歳以上であり、 特別支給の老齢厚生年金の対象年齢ではありません。
日本年金機構が支給停止の対象として挙げているのは 「雇用保険法の基本手当」と「船員保険の失業保険金」であり、 高年齢求職者給付金は列挙されていません。 実務上は年金と併せて受給できると解されていますが、 明示的な記載を確認できなかったため、 具体的なケースは年金事務所にご確認ください。
何度でも受給できます
高年齢求職者給付金は、要件を満たせば繰り返し受給できます。 65歳以降に再就職して6ヶ月以上働き、また離職すれば、その都度受給が可能です。 基本手当のような「受給後は被保険者期間がリセットされて再受給まで時間がかかる」 という制約がない点は、この制度の利点です。
よくある質問
年金をもらいながら働いていても対象ですか
対象です。65歳以上でも雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)になるため、離職すれば給付を受けられます。
一時金はいつ振り込まれますか
待期7日間と、自己都合の場合の給付制限(令和7年4月1日以降の離職なら原則1か月)が終わり、失業の認定を受けた後に一括で振り込まれます。分割ではないため認定は1回で完了します。
週20時間未満の勤務でも対象になりますか
現行では週20時間以上が雇用保険の加入要件です。ただし2028年10月から週10時間以上に拡大される予定のため、短時間勤務の方も将来的に対象になります。
何度でも受け取れますか
受け取れます。65歳以降に再就職して6か月以上働き、また離職すれば、その都度受給が可能です。基本手当のような「受給後は被保険者期間がリセットされる」という制約がありません。
「高年齢求職者給付金 シュミレーション」で探していますが、このページで合っていますか
合っています。正しい表記は「シミュレーション」ですが、どちらで検索されても同じこのページです。退職前6か月の月給と算定基礎期間を入れるだけで、一時金がいくらになるかがその場でわかります。
出典・根拠
- 厚生労働省「高年齢求職者給付金のご案内」
- 厚生労働省「業務取扱要領(高年齢被保険者の求職者給付)」
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和8年8月1日)
- 日本年金機構「失業給付・高年齢雇用継続給付を受けるとき」
最終更新:2026年9月25日/本ページの計算結果は概算です。 実際の支給額はハローワークの決定によります。
高年齢求職者給付金の申請ガイド
計算して金額が分かっても、出す場所と期限を間違えると受け取れません。 ここは一次資料で確認した手続きの実務だけをまとめています。
① どこに出すか
あなたの住所または居所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークの付属施設(プラザ・サテライトなど)では受け付けられません。本所に行く必要があります。
誰が出すか:本人が直接手続きします。
② 何を持っていくか
求職申込書(窓口で記入)+雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
- マイナンバーカード(または個人番号確認書類と身元確認書類)
- 写真1枚(縦3.0cm×横2.4cm程度)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
失業の認定時に出すのは「高年齢受給資格者失業認定申告書」で、基本手当の「失業認定申告書」とは別の様式です。写真の枚数は基本手当(2枚)と違って1枚です。
③ いつまでに出すか
離職日の翌日から1年を経過する日までです。この日を過ぎると支給されません(雇用保険法第37条の4第5項)。
一時金なので「急がなくてよい」と思われがちですが、期限を過ぎたら一切受け取れません。離職票が届いたらすぐ手続きしてください。
基本手当にある受給期間の延長制度は、兵庫労働局の説明では対象を「退職時の年齢が65歳未満の方」としており、高年齢受給資格者は対象外と読めます。病気などで1年以内に手続きできない見込みがあるときは、必ず事前にハローワークに確認してください。
④ 申請から入金まで
失業の状態が通算7日経過するまで(待期)は支給されません。自己都合で退職した場合は、待期の後さらに1か月経過するまで支給されません。認定は基本手当のような4週間ごとの繰り返しではなく1回で終わり、算定基礎期間1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満(6か月以上)なら30日分が一括で振り込まれます。認定日から振込までは約7日です。
よくある間違い
| 「一時金だから急がなくていい」と放置して1年を過ぎる | これが最大のつまずきです。離職日の翌日から1年を過ぎると、日数が残っていても一切支給されません。基本手当と違って延長で救済される見込みも乏しいため、離職票が届いたらすぐに手続きしてください。 |
|---|---|
| ハローワークプラザなどの付属施設に行ってしまう | 受給の手続きは本所でしか受け付けられません。求職の相談だけなら付属施設でもできますが、給付の手続きは本所です。 |
| 離職票が届かないまま待ってしまう | 離職日の翌々日から10日を過ぎても届かないときは、退職証明書などを持ってハローワークに相談してください。1年という期限がある以上、待つのは不利です。 |
受けられなかったときに代わりに使える制度
- 給付制限の解除(教育訓練) 令和7年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた場合、自己都合による給付制限が解除されます。
- 求職者支援制度(職業訓練受講給付金) 雇用保険の受給が終わった方も対象です。月10万円と通所手当が支給されます。年齢の上限は定められていません。
- 教育訓練支援給付金は使えません 受講開始時に45歳未満であることが要件のため、65歳以上の方は対象外です。
一次資料で確認できなかった点
推測で埋めずに、確認できなかったことをそのまま書いています。 確認でき次第この欄を更新します。
- 高年齢受給資格者に受給期間延長制度が適用されないことを明文で断定した資料
- 高年齢求職者給付金と老齢厚生年金の併給の可否(日本年金機構の調整のページは基本手当のみを扱っています)
出典(2026/09/02確認):高年齢求職者給付金のご案内(厚生労働省)/高年齢求職者給付金(岩手労働局・2025年10月作成)/雇用保険法(e-Gov法令検索)